そこはかなり古かったけど格安な物件で住み始めてすぐ気になったことが・・・。
夜遅くたまにドンドンドンと壁を叩く音がするのだ。
毎晩てわけでもないから最初は無視していたが、あるとき気付いた。
その音はかならず金曜日の夜やってきて、しかも決まった時刻に始まり、決まった時刻に終わる。
それに気づいて急に気味が悪くなった。
そこは角部屋だから叩いてるやつは隣の部屋の奴以外ありえない。
隣は人が住んでるみたいだったが、一度も顔を見たことがなかった。
根が小心な友人は文句を言いにも行けずにいた。
そしてまた金曜の夜いつもの時刻あれが来た。
隣の部屋と接する壁に耳を横付けると、確かにその壁からドン・・・ドン・・・ドン・・・と音がする。
機械的な一定のリズムと強さで。
友人は気味が悪い分、むかついてきたので、ダーン!と壁を蹴ってやった。
2度3度。
すると隣の部屋からもダーンダーンダーン!と強く叩き返してきた。
友人は完全に頭にきて部屋を飛び出し、隣の部屋を訪ねた。
玄関でブザーを鳴らすとそこの住人が出てきた。
くらーい目をした男だった。
友人が「どういうつもりだよ、ドンドン壁を叩きやがって」
強い口調で言うと、男は。
何言ってんだ、そっちが叩くから叩き返したんじゃねえか。
と言い返す。
さらに男は、「今だってお前の部屋にいる奴が叩いてるやないか」と言う。
友人は呆気にとられた。
男に引っ張られるように隣の部屋に入ると、自分の部屋と接する壁からドン・・・ドン・・・ドン・・・と音が鳴り続けていた。
次の週の金曜、友人はその友人B君を部屋に呼んだ。
B君は仲間うちでも有名な霊感の持ち主だった。
そして夜、いつものあの時刻にあれがやって来た。
ドン・・・ドン・・・ドン・・・ドン・・・。
音が鳴り始めてすぐにB君は言った。
「この部屋はすぐに出て行ったほうがええわ」
その理由を尋ねると、B君はなかなか答えてくれなかった。
それでもしつこく食い下がると、「いやな・・・そこの壁にシミができてるのわかるやろ」
B君の指差す方向を見ると確かにはっきりわかるシミが壁にできていた。
はいった時、壁紙は張り替えていてこんなシミは絶対なかったはずなのに。
「そこの前に頭から血を流した女の人が正座してて・・・」
「ずっと壁に頭を打ち付けてんねん、ドン・・・ドン・・・ドン・・・て」