まあ、お泊り会だな。
そいつの家はけっこう立派な新築でちょい山の中腹にあった。
夜の八時に駅について蚊が多いから足早にSの家へ急いだ。
月を見ながら坂を上ってようやくSの家につく。
部屋に入ってスーファミしたりコミック読んだり。
そんで飲み物やお菓子買いにコンビニまで行こうってなって皆玄関で靴はいてた。
奥からSのお母さんがやってきたんだ。
Sはクーラー入れていいというのは珍しいと何度もつぶやいてた。
Sの家は父親はいなくてそのお母さんが主だったから。
夜の十一時くらいかな。
下の階から電話のベルが響いてきた。
しかし誰も出ない。
ずっと鳴ってるといらいらしてくるもので友達の一人が「俺、電話出てくるわ」って階段下りていった。
「もうすぐ止むと思うから。うるさいでしょう。ごめんね。部屋の窓は絶対開けちゃだめよ」って俺らは言われた。
その後Sがママと話して部屋に戻って俺らに話した事は嘘でも冗談でもなく現実の話。
今日はSのママの友達の「命日」で俺らが来る前に「その友達」からこんな電話があったそうだ。
ママさんをMと呼ぶことにする。
「Mちゃん・・・・Mちゃ・・今夜家・・に来・・てもいいいい???Mちゃん・・・・Mちゃ・・今夜家・・に来・・てもいいいい???」
「駄目よ・・絶対駄目・・!来たらだめよ・・・・」
こんな感じ。
これが繰り返されてたと。
俺らは部屋の窓をあわてて確認した。
十二時に電話のベルは止まった。