小学4年の夏休みに、爺ちゃんのいる田舎に帰って、近くの山で一人で遊んでた時のこと。
小学4年の夏休みに、爺ちゃんのいる田舎に帰って、近くの山で一人で遊んでた時のこと。
最初はあんまり奥には行かず、道沿いに昆虫なんかを探してたと思う。
しばらくしてふと森の奥を見ると、信号機が立っているのが見えた。
まさに、都会の道路にあるあの信号機。未だにはっきり覚えている。
ランプは点灯していなかったが、倒れたりはせずしっかりと地面に立っていた。
何だあれ?と思って森の奥に行こうと2、3歩踏み出した瞬間、
横のくさむらからガサガサッと音がして、ビクッと反射的にそっちを向いたら、得体の知れないものがのしかかってきた。
ここで一旦記憶が飛んでいるので、あまり上手くは言えないが。
一瞬だけ見て覚えているのは、黒くて大きな三日月を横にしたような物体?だった。
それで次に気付いた時は、爺ちゃんの家に向かって歩いていた。
そしてその道中、妙に頭が痒い。
家に着くと、母親が俺を見て悲鳴をあげた。「あんた、頭どうしたんよ!?」と。
え?と思って顔や頭を触ると、血がべっとり。でも全然痛くない。
訳が分からないまま、とりあえず頭に当てときなさい、と濡らしたタオルを貰ったので、そのまま縁側に座って、しばらく下を向いて止血していた。
何分ぐらい経ったか、ふと顔を上げてみたら、母親、父親、妹、爺ちゃん、婆ちゃんが俺の前に全員立っていて、
みんな目をぐるぐるさせながら(分かるかな?)俺を見てニヤニヤと笑っていた。
そこでまた記憶が飛んだ。これは多分ショックで気絶したんだと思う。
目が覚めると俺は布団に寝かされていた。
ちょうど婆ちゃんがジュースを持ってきてくれた所で、顔を見ても、俺が知っているいつもの優しい婆ちゃんだった。
「暑いからねぇ、帽子かぶらんと。日射病は恐いよ。」なんて言っている。
俺はとっさに頭に手を当てたが、血どころか傷の痕跡すら無い。
で、この後どうなったかというと、何も無し。勿論家族も全員普通。
森の中の信号機も、得体の知れない物体も、頭の出血もみんなの気持ち悪い笑いも全部謎のまま、今に至る。
小学生の俺は一人混乱したまま、こんな出来事を誰に説明できる訳もなかった。
誰かこういう事に詳しい人が居たら、教えて欲しい。
あれは何だったんだ?