その全員が死亡したとのことである
そのため、事故当日は雫石の全域に「生きた人間」が降り注ぐという前代未聞の惨劇が起こり、
その多くが極めて凄惨な状態で発見されたという
で、本題。
この間、私の姉が盛岡で飲んでいると、近くの席でやんややんやと盛り上がっていた若い男達がいた
その内の一人、話を聞くに雫石町みんであるという若い男が、件の雫石飛行機事故のことを
語りだしたのだという
「いやね、あの日のことは母からよく聞いてるんですけれど、あの日は本当にひどかったんだそうです。
人間の体ってね、マッチに使われるのと同じリンを含んでるから、体が燃えるとその炎は青色に
なるんだそうです。
事故が起こったとき、物凄い爆音が聞こえて、雫石の人たちが空を見上げると、空中を何かが
キラキラ青く光りながら落ちてくる。
それがあんまりにもキレイなもんだから、みんな『まさか天使じゃないか』みたいなことを言いながら、
その光が落ちた方向に野次馬根性で行ったそうなんです。
そして、結果的に多くの人間が墜落死した人間の遺体を見た。もうトラウマですよね。
事故の爆音は遠く花巻でも聞こえたそうですよ。
遺体が多く降り注いだ安庭小学校も、その事件を期に立て替えられて今は別の場所に
立ってんですよね」
耳をそばだててた姉だけでなく、その男と一緒に飲んでいた男たちですら、シーンと静まり返ったのが
印象的だったという
「でも、雫石の人間はたぶん、あの事故のことも、慰霊の森のことも、思ったより気にしてませんよ。。
慰霊の森の幽霊騒ぎなんてのは、俺らからしたら眉唾です。あの光景より恐ろしいもんなんかないって
お母さんが言ってましたし」
若い男はそう語り終えた。