立会いで事務所(テナントビルの5階)に日曜出勤してた。
朝から始まった工事が終わったのは夜の8時半ぐらい。冬だったんで外は結構暗かったな。
業者が後片付けして帰り、さあて俺も帰ろうと戸締りの準備を始めた。
事務所は賃貸で、棒警備会社の機械警備がついていた。警報装置をセットすると事務所内の
モーションセンサーが作動し、人間が動いたりすると警報が鳴るシステム。
残業で帰れなくなった若手社員が会社に泊まったとき、他の部の社員が気づかずに警備を
セットしちゃって、翌朝、若手社員がむっくり起きた瞬間に警報が発報、駆けつけた警備員に
囲まれたこともあった(担当者の俺は管理事務所からメタメタに怒られた)。
俺は事務所の電気を消し、二ヶ所ある出入口の非常階段側のドアに中から鍵をかけ、事務所の
反対側のドアを出て、ドアの横にある端末に警報装置のキーカードを差し込んだ。その瞬間、
ドバァン!!
鉄製のドアが、内側から叩かれた。平手でビターンと叩いたような音。
ドアが揺れるほどのすごい力だった。
俺は死ぬほど驚いて、うわ誰かいたのかよヤバかったなー、と思ったが、よく考えると日曜の夜だし、
朝から事務所にいたが俺以外に出勤している奴なんかいなかった。
何がなんだかわからなかったが、ドアを細めに開けて中をうかがった。
真っ暗だが人のいる気配はない。
叩くペースがバンバンバンバンバンバン!!とあがってくる。そのうちドアハンドルが内側から
ガチャガチャ動かされ始める。その間もドアはものすごい勢いで叩きまくられている。
俺はもう「ヤバイ」以外に何も考えられず、警備端末からカードを引き抜いた。これでドアに鍵が
かかり、警備装置が作動する。
ハンドルはガチャガチャ、ドアはバンバン叩かれガタガタゆれている。俺は泣きそうになりながら
必死でドアを押さえていた。
一方、警備装置からは「まもなく機械警備を開始します・・・」という間抜けなアナウンスが流れる。
ドアを押さえていた手に、電気式の錠がかかる「ガチン」という感触が伝わった。
俺はガタガタ動いているドアから離れると、もう半狂乱で階段から逃げた。ドアを叩く音は
まだ聞こえていた。
一階まで階段を駆け下りて、半泣きで管理事務所の警備員のおじさんに事情を話し、
一緒に事務所に行ってもらった。
もう音はしない。5階についてみると、さっきのドアは外に大きく開け放たれていた。両開きのドアが
両方とも開いたままになっている。電気錠のボルトがひんまがっていた。
警備端末を見ると作動したままなんだが、モーションセンサーの反応を示す赤ランプが点いていない。
あれだけ中から激しく叩かれていたのに。
何がなんだかわからないまま、警備員さんに「中、入ってみましょうか」と言われ、事務所に入って
照明のスイッチを入れた。
照明に照らされたドアの内側には、人が叩いたような手形の跡がびっしり光っていた。
結局、警備員のおじさんにも何が起きたかはわからずじまい。俺は帰宅したが、
一晩中電気つけっぱで朝まで眠れなかった。
そのビルは因縁があるような古い建物でもなく、幽霊話もそれまで聞いたことがなかった。
ドアから出ていったものがなんだったのか、いまだにわからない。
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