ある女の子が、1人で夜景を見に展望台のあるホテルへ出かけた。
昼間に見ると自然いっぱいの野山や綺麗な川や滝が見え、
夜には山々に明かりが灯り綺麗な夜景が見られると言う有名なホテルだった。
その道中、同じく1人旅をしている年上の女性と知り合い、
偶然同じホテルを目指していた事から、一緒にホテルへ向かう間、
いろいろと話をしてる内にすぐに打ち解けて、親友のように仲良くなった。
ホテルにたどり着き、チェックインを済ませると、2人は展望台を目指した。
夜ほどの景色でもないが、展望台にはすでにたくさんの人が集まっており
ガラス張りの綺麗なホテル窓からは大自然が見える。
見とれていると、隣にいる女性が「あっ!あそこ見て!」と滝の方を指差した。
周りは一時騒然となり、滝の真上に視線が集まる。
なんと、滝の上流にある岩の上に、女の人が立っていると言うのだ。
口々に「自殺するんじゃないのか!?」、「危ないすぐ係員に知らせろ」、
などと騒いでいる。
女の子はとっさに望遠鏡を覗いた。
するとそこには、青白い顔を笑いながらこちらを見ている女――。
女の子はある事に気がつき、背筋に悪寒が走った。。
なんとその女は、今まで一緒にいた女性とそっくりだったのだ。
女の子がゾッとした瞬間、その女はニヤッと笑い深い谷底へ落ちていった。
隣には、もう誰もいなかった・・・。
女の子は、得体の知れない恐怖にしばらく震えていたが、
少し落ち着くと、フロントへいき、その女性について説明したが、
フロントマンに怪訝そうな顔をされて、そんな女性は知らないし、
お客様は最初からお一人だったはずですが・・・と言い返された。
一方、女の自殺のほうは多くの人が目撃していた事もあり、まぎれもない事実だった。
ホテルの客もその話題で持ちきりで、翌日のニュースでも報道された。
どうやら恋人に振られた女が投身自殺を図ったとの事だった。
しかし、あの女性は一体何だったのだろうか、彼女に何かを伝えたかったのだろうか、
それとも彼女もあの世につれて行こうとしていたのだろうか・・・。