俺が小学生の頃。うちの小学校では、給食の時間中は、校内で基本的に何かしらの楽しい感じの曲が流されていた。
その曲のほとんどはN○Kで流れていた「みんなのうた」だったと記憶している。
俺はそんな曲が流れていることは気にせず、友達と喋りながら楽しい給食時間を過ごしていたが、給食の時間が終わる5分前くらいになると、急に意味不明で不気味な曲が流れ出して、いつも俺の気を引いていた。
曲と書いたが、本当にそれが何かしらの曲だったのかはわからない。
曲というより、音と言ったほうが正確かもしれない。
とにかくそれは不気味で、今でも断片的にそれを思い出すことができる。
デーデーデーデーデーデーデー
デーデーデーデーデーデーデー
デーデーデーデーデーデーデー
と、ものすごく低い音が繰り返されたあと、子供の声で何を言ってるか聞き取れない言葉が流れてくる。
その曲が流れるたびに、鳥肌が立つほど恐怖していたが、周りの友達はそんな曲が流れていても全く気にしていないようだった。
友達に「怖いよね?」と尋ねてみても、変な曲だけど怖くないと返されていた。
俺はその曲が流れている時に、何回か色々な先生に、これが何の曲なのか尋ねたことがあった。
先生が言うには、「歯磨きを指導するための曲だと聞いているんだけど…」と、なぜか、どの先生も疑問を持っているような答え方をしていた。
そんな曲が小学一年生から三年生くらいまで流れていたが、四年生か五年生くらいになる頃には、流されなくなっていた。
給食時間中に校内の放送を担当するのは、放送委員会という、小学五年生から担当できる委員会の子供たちだった。
俺が五年生になる頃には、その曲が流されなくなっていたので、放送委員になっても、その曲のCDかテープを見ることはできなかった。
そればかりか、友達や先生に、以前給食時間中に不気味な曲が流れていたか尋ねても、ほとんどの人が覚えていないか、なんの曲だったかわからないと答えた。
あれから随分経ったが、未だにあの音は忘れられない。